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高野連が説教するのはヘンだ

北海道の駒大苫小牧高校野球部の3年生10人が、飲酒や喫煙をし、警察に補導されました。きょう(2006年3月3日)の全国紙は、朝刊の社会面でこのニュースを大きく取り上げ、夕刊でも続報を載せています。

駒大苫小牧野球部といえば、雪国からの出場ながら夏の甲子園を2年連続で制し、大いに注目と称賛を浴びたチームです。ちかく始まる春の甲子園にも出場が決まっていて、夏春連覇の期待が高まっていました。

それだけに、飲酒・喫煙など、どこの高校生もよくする行為が、ひときわ大きなニュースになってしまうのは仕方がないように思います。昨夏の甲子園で優勝後、野球部長(当時)の暴力事件が明るみに出たことも考えると、新聞が、「いったいどうなってんだ、この野球部」と厳しい見方をするのもわかります。

ただ、今回の報道のように、日本高校野球連盟(高野連)なる団体がお説教をたれ、それを新聞がうやうやしく掲載するのは、なんか違うような気がします。

だいたい、高野連は教育機関ではなく、高校野球を盛り上げ、大会などを運営するスポーツ振興団体のはずです。高校生にしてみれば、教育機関としては学校(高校)があり、教育者としては親や教員がいるわけですから、悪いことをしたら学校や親、教員に怒られればいいはずであって、高野連から日常生活についてとやかく言われる筋合いはないはずです。

それなのに、朝日の朝刊は、〈高校野球は野球を通じて人格を形成するのが大きな目標。それを達成した卒業式の日にこういう問題が起きたのは残念だ〉という、高野連のおエラ方のコメントをわざわざ掲載。毎日の夕刊も、〈「野球部員の3年生は、部を離れても、自覚、規範意識をしっかり持ってほしい」〉と、高野連会長に教育的指導をさせています。

高野連の人々がそうした感想をもったり、言葉にしたりするのは自由ですし、言っている内容がそんなに間違っているとも思いません。しかし新聞が、そうした筋違いの説教くさいコメントを取り上げる理由はないように思います。

朝日によると、高野連は、〈以前は「3年生部員はシーズン終了の11月30日をもって所属連盟の登録を抹消する」としていたが、04年に「退部届を出した後は不正があっても部長、高野連の指導の対象外になってしまう」として(規定を)改正した〉とのことです。これだって、不正があれば保護者や学校関係者が指導すればいいはずであって、なにも高野連が〈「指導の対象外になってしまう」〉と言って、規定まで変えて「指導」に乗り出す必要なんてないはずです。

読売朝刊は、高野連のコメントは、〈「選抜出場については、学校からの正式な報告を待って審議したい」〉とだけ書いています。教育者ぶった発言は気に止めず、あくまでスポーツ振興団体の本来の役割にだけ注目した、よい記述だと思います。

高野連は以前から、やれ長髪や茶髪は好ましくないだの、やれ高校生らしさ(という実体のないもの)を大事にしろだの言うなど、自らを教育機関だと勘違いしているフシがあります。それを、朝日や毎日のように、高野連とつながりが深い新聞(両紙とも甲子園大会を主催)が増長させているように思います。

教育は保護者や学校、大会の円滑な運営は高野連、といった役割分担をちゃんとし、互いに越権行為は慎むべきです。そして新聞も、高野連との腐れ縁にとらわれず、高野連の守備範囲をしっかりと限定すべきだと思います。
by tmreij | 2006-03-03 22:59 | 本紙


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