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村主選手は、なぜ4位なの?

トリノ五輪フィギュアスケート女子で、荒川静香選手が優勝しました。きょう(2006年2月24日)の北海道新聞夕刊は、荒川選手を中心にフィギュア女子3選手の健闘を、1面や中面(見開きカラー写真つき)、社会面などで大々的に報じています。

フリーの演技をテレビで観戦したのですが、 フィギュアスケートの採点についての知識はゼロに近い素人ながら、結果には少し違和感を覚えました。その違和感を解消してくれることを期待して新聞を待ったのですが、あまり効果はありませんでした。

フリーにおける荒川選手の滑りは、金メダルに値する素晴らしいものだったと思います。安藤美姫選手はミスが多く、15位というのも妥当なところではないかという気がします。しかし、村主章枝選手の4位というのは、なぜなのでしょうか。

荒川選手の勝因のひとつは、ショートプログラムで上位にいた2選手が転倒するなか、〈フリーはほぼノーミス〉(社会面)だったことだと報じられています。ただ、ノーミスということでいえば、村主選手も同じだったのではないでしょうか。ジャンプはきれいに決まったように見え、スケーティングも滑らかな感じがしました。実際、村主選手のミスによる減点は、荒川選手同様、ゼロでした(安藤選手は減点2.00点)。

実況のNHKのアナウンサーや解説者は、「やった」「最高」などという言葉を漏らしていましたし、演技を終えた村主選手に、立ち上がって拍手を贈る観客がいたとも伝えていました。

それなのに、フリーの得点は、荒川選手が125.32点だったのに対し、村主選手は113.48点。技術点では、8.09点もの差がつきました。

この2選手の差について、きょうの道新はどう説明しているのでしょうか。その点を意識しながら記事を読んでいったのですが、それらしい説明は、中面の〈満足 切なさ 村主涙〉という見出しの記事で、〈(村主選手は)ジャンプの質が低く、メダルには届かなかった〉とあるだけです。優勝した荒川選手の活躍に紙面の多くを割くのは当然だとは思いますが、見事な演技をしながら高い評価を得られなかった(と感じられた)村主選手について、なにがどう足りなかったのか、もう少し説明してくれてもいいように思います。

ジャンプの種類によって点数が違うのはわかります。23日付の道新朝刊は、図つきでこのことを説明していました。ただ、もし村主選手の得点がのびなかった原因がこのジャンプだったとしたら、村主選手は点数が低いジャンプばかりを選んで飛んでいたということなのでしょうか。最初から、上位を狙ってはいなかった可能性もあるのでしょうか。そもそも〈ジャンプの質が低く〉というのは、どういうことを言っているのでしょうか。

村主選手の得点に違和感を覚えたのは、同選手の落胆ぶりを目にしたからでもあります。演技を終えて点数が出たときの村主選手の表情からは、失望感がうかがえました。テレビのインタビューでは涙を流していましたが、感動の涙というよりは、悔し涙のように思えました。技術的なミスはほとんどなかったわけですから、本人としては、当然ながら高得点を期待していたのではないでしょうか。

中面記事には、村主選手の〈点数が出ないのは今後の課題〉というコメントが載っています。この言葉からは、もっと高い点数が出るはずだった、という村主選手の思いが感じ取れるような気がします。

フィギュアスケートに詳しい人は、いろんなことをちゃんと理解し、今回の結果に納得しているのかもしれません。

ただ、新聞の読者には、ずぶの素人だって多いはずです。新聞は、そうした人たちも記事を読むことを前提に、優勝の勝因ばかりではなく、4位の理由についても、わかりやすく書いてほしいと思います。

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この日の道新のフィギュアスケート関連の記事は、社会面を除いてほとんどが共同通信の配信によるものです。
by tmreij | 2006-02-25 08:39 | 津々浦々


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