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うわさ話でも情報源にしているのか

イラクのサマワで銃撃戦があり、イラク人に死傷者が出ました。きょう(2006年1月23日)の読売新聞朝刊は、2面でこの出来事について伝えています。

簡潔にまとまった記事ですが、その書き方からは、ちと読者をなめている感じを覚えます。

記事によると、銃撃戦はパトロール中の英軍と武装勢力との間で発生。市民1人が巻き添えになって亡くなりました。陸上自衛隊が駐留するサマワで起きただけに、多くの日本人にとって気になるニュースだと思います。

その意味で、読売が〈サマワ・英軍 銃撃戦〉〈市民4人 死傷〉という3段見出しをつけ、目立つ扱いにした判断はよかったと思います。毎日は国際面で2段見出し(共同記事を使用)でしたし、朝日は同じく国際面で短信ベタという地味な扱いでした。

気になるのは、読売の記事の書き出し方です。〈陸上自衛隊が駐留するイラク南部サマワからの情報によると〉と始まるのですが、まるでサマワから風に乗って流れてきたうわさ話(風説)でも小耳にはさんだかのような書き方ではないでしょうか。〈サマワからの情報〉とはいったい、何を指しているのでしょう。

記事中には、〈英軍報道官は……と述べた〉〈警察筋は……とみている〉という文章が出てきます。しかしこれらは、文頭の〈サマワからの情報によると〉を受けていると読むのがふつうでしょう。英軍報道官や警察筋から直に話を聞いたのではなく、〈サマワからの情報〉の中に、英軍報道官らの見解も含まれていたのだと思います。

今回の読売の記事は、サマワから遠く離れたエジプトにいる記者が書いています。それだけに、情報源はだれ(何)かということはとても重要なはずです。読者にしてみれば、記者が現地で直接取材して得た情報でないことは明らかですから、どこから出てきた話なのかによって、その記事の信ぴょう性などを判断するしかないからです。

それなのに、〈サマワからの情報によると〉は、ないんじゃないでしょうか。

こんな書き方をする理由は、いくつか考えられます。APやロイターといった外国通信社の配信記事をもとにしたことを、ぼやかしているのかもしれません。現地にいる助手から伝え聞いた話だということも、あり得るでしょう。自衛隊筋から情報提供があった可能性もあります。

いずれにしろ、もう少しちゃんと情報源を書くべきです。仮に他社の記事がネタ元である場合は、そう書くのは抵抗があるかもしれませんが、事実なんですから仕方ありません。助手が情報源なら、そう書いたってまずいことはないはずです。それ以外から得た情報だとしても、〈サマワからの情報によると〉よりも具体的に書く方法はあるはずです。

毎日が使用した共同の記事は、〈サマワの英軍報道官によると〉などと情報源を明確にしています(共同はサマワから記事を配信)。カイロで記事を書いた朝日も、共同ほどはっきりしてはいないものの、〈イラク警察筋によると〉と、どこから情報を得たかを示しています。

ニュースソースはどこなのかということを明らかにするのは、基本中の基本のはずです。情報源を明示しない記事からは、「われわれが記事にすることをだまって信じればいいんだ」という新聞側のおごりを感じます。
by tmreij | 2006-01-23 23:53 | 本紙


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