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聴取されたもう1人はだれ?

ライブドア幹部が、検察の事情聴取に任意で応じました。きょう(2006年1月21日)の読売新聞朝刊は、〈ライブドア 宮内取締役ら聴取〉という大見出しの記事を1面に掲載しています。

それによると、〈(東京地検特捜部は)幹部3人から任意で事情聴取した〉とのこと。当然ながら、3人ってだれ?と気になるところです。

記事を読むと、2人の名前が出てきます。〈グループの実質ナンバー2で、財務責任者の宮内亮治・同社(ライブドア)取締役〉と、〈グループの経営企画を統括していた熊谷史人・ライブドア取締役〉です。

ところが、もう1人がだれなのかは書いていません。不自然かつ不親切です。

これが仮に、事情聴取されたのが3人ではなく10人だったら、主だった2人の名前だけ出して済ませるのはまだわかります。全員を書くとなれば、結構なスペースが必要となるからです。

しかし、今回事情を聴かれたのは3人です。2人分の名前を書くのも3人分を載せるのも、スペースではそんなに変わりはありません。幹部3人のうち2人だけ出して、もう1人の幹部だけ伏せるのは、紙面の問題ではないように思います。

考えられるのは、新聞社はもう1人の名前を知りながら、書いていないということです。検察から名前を伏せるよう要請されたとか、事件への関与の度合いなどから新聞社が名前を伏せると決めたといったことが、理由として推測できます。

また、1人だけ特定できなかったという可能性もあります。検察は警察と違ってふつう記者発表をしませんから、だれが事情聴取されたのかは取材で突き止めるしかありません。読売は、2人まではわかったけれど、残る1人は詰め切れなかったのかもしれません。

理由はなんであれ、読者にしてみれば、3人のうち2人だけ特定されていて、あとの1人はわからないなんて、なんとも落ち着きません。新聞は、読者をこんな状態のままにすべきではありません。

他紙をみてみると、朝日も宮内、熊谷両氏らが聴取されたと書いています。毎日は、宮内氏と〈「ライブドアファイナンス」(港区)役員〉らが追及されたと説明しています。読売と似ていますが、2紙とも事情聴取された人数を特定していない分、読後の落ち着かない気持ちは読売ほどないように思います。

では、読売が〈幹部3人〉と書いたのが悪かったのかというと、そんなことはありません。読者にとっては、情報が多いに超したことはないわけですから、人数を限定した点で、朝日や毎日より優れた記事といえるでしょう。優れているはずなのに、読者へのサービス精神や配慮がないから、不親切な印象の記事になっているのです。

じゃあ、どうすればいいのかというと、単純です。1人だけ名前を明らかにできない理由を、読者に説明すればよいのです。「残る1人は事件への関わりが小さいとみられるため氏名は伏せた」とか、「もう1人の氏名については不明」とか、率直に書くのです。

新聞にすれば、内情を知らせすぎだとか、カッコ悪いなどといった思いがあるでしょう。抵抗感は、かなり強いと思います。しかし、自らを大切にして、読者をないがしろにしてよいはずがありません。読者がすっきりと納得できるような記事にすることを、最優先にすべきです。

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ちなみに、東京も読売と同様、聴取は3人と限定し、宮内、熊谷両氏だけ挙げています。日経は、人数を特定せずに宮内、熊谷両氏の名前を列記。産経だけが、宮内、熊谷両氏のほか、〈関連会社ライブドアファイナンスの中村長也社長らとされる〉と、第三の人物の名前を記しています(聴取人数は特定せず)。
by tmreij | 2006-01-21 23:59 | 本紙


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