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新聞は、つけ込まれてはいないか

きょう(2006年1月18日)の全国紙朝刊は、とてもキュウクツそうです。ライブドアの家宅捜索と、宮崎勤被告の最高裁判決、阪神大震災11周年、ヒューザーの小嶋進社長の衆院証人喚問が、前日に集中したからです(家宅捜索は16日から17日にかけて)。

これだけ1面や社会面トップ級の話題がそろうことは、そうそうないように思います。証人喚問を除き、一報はきのうの夕刊でありましたが(家宅捜索は17日朝刊)、きょうの朝刊にも関係記事がひしめいています。

こういう紙面をみると、つくづくニュースの価値というのは相対的だなあと思います。他に大きな話題がない日であれば、いずれのニュースももっと手厚く、目立つように報じられていたことでしょう。

新聞は、このニュース価値の相対性が利用される恐れを意識し、そのことへの対処法を考える必要があるように思います。

17日にあったビッグイベントで、本来動かしようがなかったのは、阪神大震災の記念日だけです。家宅捜索は検察庁、最高裁判決は裁判所、証人喚問は国会がそれぞれ、任意で日程を決めています。特に、家宅捜索と証人喚問は、かなり最近になって決定されたと思われますし、別の日にしようと思えばできたようにも思います。

結果的に、すべてが17日に集中したことで、スペースに限りがある新聞紙上では、どのニュースも普段より価値が小さくなったといえるでしょう。阪神大震災の記念日を大きくアピールしたい人たちにとっては、残念だったと思います。その一方、証人喚問された小嶋社長や同社長と関係があったとされる国会議員や役人らには、他のニュースにまぎれて傷を浅くできたという思いがあったかもしれません。

考えようによっては、特定のニュースの価値を下げたい人たちが、この日をねらったのかもしれません。

大きなイベントが重なるのは、新聞の責任ではありません。でも、このままでは、意図的にニュース価値を下げようとする人々に、好きにやられてしまうだけではないでしょうか。何らかの対抗方法はないのでしょうか。

ひとつ考え得るのは、こういう日にはページ数を増やすことだと思います。今回のように、阪神大震災記念日と最高裁判決、証人喚問が事前にわかっているようなときには、あらかじめ紙面を拡大して待機しておくことは、比較的しやすいのではないでしょうか(もちろん、金や労力はかかるでしょうが)。そうして、さまざまな角度からの記事を、大見出しでバンバン打つべきです。1面トップや社会面トップといった目立つ場所が限られるのは変わらないでしょうが、少なくとも、スペースがないから大事な記事や詳細な記事を載せられないということはなくなるはずです。

ニュース価値がタイミングにより大小してしまうのは、紙面という制約をもつ新聞の宿命でしょう。しかし、そこにつけ込まれず、読者に大事なニュースを大事なんだとわかるように伝える工夫を、新聞はもっとできるように思います。
by tmreij | 2006-01-18 23:59 | 本紙


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