2006年 04月 22日 ( 1 )

日本はなぜ、海底の韓国名に「対抗」するのか

日本が竹島(独島)周辺で海洋測量調査をしようとし、韓国がこれに反発しています。きょう(2006年4月21日)の全国紙各紙朝刊は、1面などで、両国政府の動きや考えについて伝えています。

毎日と読売は、社説でもこの問題について論じています(朝日は、きのうの社説で取り上げました)。きのうは3紙とも、総合面に大型の解説記事を掲載。緊張が高まっている背景を説明していました。

それらを読むと、日本の海洋測量調査のきっかけが、韓国への対抗心であることが理解できます。韓国が竹島周辺の海底に韓国式の地名をつけようとしていることへの対抗心です。

しかし、その対抗心がどれだけ妥当なものなのかについては、よくわかりません。そんなこと説明しなくても妥当に決まっているだろ、とでも思っているからか、韓国の対抗心を分析したり批判したりする記述はあっても、日本の対抗心について検証する記述が見当たらないのです。

例えばきょうの毎日1面は、〈日本政府の海洋調査は、6月に行われる海底地形に関する国際会議に韓国が竹島周辺の韓国名を提案する動きをみせたのに対抗して計画された〉と日本の動機に触れていますが、これ以上の説明はありません。なぜ〈対抗〉するのか、〈対抗〉しないとどうなるのか、といった点については、何も書いていません。

読売社説も、〈韓国が海底地形に独自の名称をつけようとしているため、日本も対案を示す必要が生じ、データを収集することにした〉と解説しています。でも、〈必要が生じた〉と言っておきながら、その理由に関する説明はなしです。

韓国名をつけられたら、竹島を含む周辺は韓国の領土ということになってしまう。だから、日本は何としてもそれを阻止しなければならない。そんなあたりが、おそらく〈対抗〉や〈必要〉の理由でしょう。

でも、それって本当にそうなんでしょうか。

「日本海」という海があります。この呼び名は、日本政府が「当該海域の国際的に確立した唯一の呼称であり、我が国政府としても従来からこの立場を取っております」(外務省ウェブサイト)と宣言しているのもので、国連でも認知されているようです。しかし、だからといって、「日本海」全部が日本の領海だなんてことにはなりません。仮に日本がそう主張したって、国際的にはまず間違いなく認められないでしょう。

今回の海底についてだって、もし韓国式の名前がつけられたとしても、それをもってすぐ、竹島の領有権や海底資源の利用権の問題に直結するのでしょうか。仮に韓国が一方的に領有権などを宣言したって、やっぱり他の国々には受け入れられないはずです。

韓国に好きなように地名をつけさせろ、と主張しているわけではありません(ただでさえ険悪な日韓関係をいっそう悪化させるぐらいなら、そういう選択をしたっていいようにも思いますが)。ただ、新聞が日本の「対抗心」を当然のように受け入れ、それを前提に記事を書いたり社説などで論じたりしていくのは、言論機関として地に足がついていない感じがします。批判精神もうかがえません。

日韓どっちの味方をするのかとか、どっちの国益を守るのかといった次元のヤジなど気にせず、新聞は、両国の思惑やその妥当性を、淡々と、しかし厳しく検証すべきだと思います。

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きのうの読売によると、日本だって約30年前に、〈海洋調査結果をもとに、竹島の南側近海の海底を「対馬海盆」と名付け〉たとのこと。それを考えるとなおさら、他の海底部分を韓国名にしたっていいじゃん、という気がしてきます。
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by tmreij | 2006-04-22 00:00 | 本紙