2006年 02月 10日 ( 1 )

沖縄返還「密約」の事実を奪い返せ

沖縄返還の際に、米国が出すべき補償費用を日本が代わりに負担するという「密約」が日米間であったと、当時の外務省担当者が明かしました。きょう(2006年2月10日)の毎日新聞朝刊は、1面と総合面でこのニュースを大きく報道。元担当者の暴露を受けてもなおも密約を認めようとしない日本政府を、厳しい口調で批判しています。

この政府批判を全面的に支持するとともに、他の新聞には、これが報道の根源にかかわる問題であることをよく認識し、しっかりと政府を追及することを求めたいと思います。

この密約については当時、毎日新聞記者がスクープしました。ところが国は、機密情報を漏らしたとして、記者を国家公務員法違反(記者の情報源が外務省職員だったため)の疑いで逮捕。記者は、事実を突き止めることは犯罪ではないと主張し、最高裁まで争いましたが、結局有罪が確定しました。肝心の密約があったかどうかは、裁判では明らかにされませんでした。

こうしたいきさつもあってか、この日の毎日は、激しい言葉を政府に浴びせています。すでに、〈00年5月と02年6月に、肩代わりを「日米間の密約」と明記した米政府の文書が米国立公文書館で見つかった〉うえに、今回の告白も出てきたにもかかわらず、〈安倍晋三官房長官は9日の記者会見で「全くそうした密約はなかったと報告を受けている」と述べ、政府として改めて密約を否定した〉ことに対し、〈明白な証拠がで出ているにもかかわらず、密約の存在を認めない日本政府の姿勢は不誠実極まりない〉と断じています。

まったくそのとおりだと思います。

今回の元外務省担当者の暴露は、毎日のスクープかと思いきや、朝日もきょうの朝刊総合面で報じています。ただ、毎日のように、政府の反応を非難する言葉はありません。一方、読売は、きょうの紙面には記事を掲載できていません。(2006年2月10日20時7分  読売新聞)と打刻してあるウェブ版の記事をみると、〈麻生外相は10日の記者会見で、「(2000年当時の)河野外相に吉野元局長が『密約はない』と答えたことで、この話は終わっている。外務省の態度に変化はない」と述べた〉と書いていますが、やはり批判や論評はみられません。(この記事はあす11日の朝刊に掲載されると思いますが、内容は変わるかもしれません)

えらく淡泊じゃないでしょうか。

もう30年以上も前のことですが、新聞記者が事実に迫り、それを報じたことが、罪にされたのです。そのうえ、政府はこれまでずっと密約なんてなかったという見解を貫いてきたため、超一級のスクープを放ったはずの記者は、とてつもない不名誉を被ってきたのです。

このことに怒らずして、新聞記者でしょうか。今回の告白は、記者の不名誉をぬぐい去る絶好の機会ですし、なにより、一つしかない「事実」をめぐる争いに決着をつけるチャンスです。政府は、今度は不名誉が自分たちのほうに降りかかってくることを恐れて、密約を認めず、言い逃れをしてなんとか切り抜けようとするでしょう。新聞は、それを許してはならないと思います。
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by tmreij | 2006-02-10 23:30 | 本紙