大銀行の悪さに、甘すぎない?

JPモルガン信託銀行が、業務の一部を停止するよう金融庁に命じられました。きょう(2006年4月6日)の読売新聞朝刊は、このニュースを経済面で報じています。

まず、このブログの筆者が経済に(も)明るくないことを、あらかじめ表明します。ですので、信託業務や証券取引など、込み入ったことはさっぱりわかりません。

それでも、仕事をするな! と会社が国に命令されるなんて、ただならぬ事態だという感じがしますし、実際、ただならぬ事態のはずです。

ところが、この日の読売の記事は、紙面の下のほうでベタ見出し、25行。注意して見ないと、読み飛ばしてしまうぐらい地味な扱いです(実際に初めは気づかず、他紙で今回の命令のことを知ってから、改めて読み直して、今回の記事を見つけました)。

経済オンチですが、こんな程度のニュース価値しかないんでしょうか。

記事によると、JPモルガン信託銀行は、不動産の証券化商品を〈実際の価値より高い値段で機関投資家に販売していた〉とのこと。さらに、販売した商品には、〈建築基準法に違反しているなど、証券化に適さない100件程度の物件も含まれていた〉というのです。

経済オンチですが、いいんですか、実際より高い値段で商品を売ったりして。多分、よくないはずです。実は、かなりよくないんじゃないでしょうか。相当けしからんことだから、業務ストップ! と金融庁が強権を発動したのではないでしょうか。

それなのに、新聞が不当販売の実態や被害について詳しく書かず、銀行のコメントも載せず、ベタの見出しで紙面の下のほうに寝かせるというのは、どういうことなのでしょうか。

大きなニュースが重なった結果、地味な扱いしかできなかったかというと、そんなことはなさそうです。この日の経済面にどーんと大きく出しているのは、自民党税制調査会が本格的な議論を始めた、という記事。囲みをつけて目立たせているのは、USENの宇野康秀社長のインタビュー記事です。ともに、ビッグニュースとはいえません。

経済通にいわせれば、今回の程度の不当販売やそれに対する業務停止命令はよくあることで、だから目立たない扱いでいいのさ、ということなのかもしれません。でも、実際より高い値段で商品を売るなんて、よくあっていいことなのでしょうか。しかも、片田舎の個人商店が90円のパンを100円で売っていたといった話ではなく、〈米大手金融グループのJPモルガン信託銀行〉が、不動産関連の商品に高過ぎる値段をつけて販売していたというのです。仮によくある話であるのなら、そうしたことがあるたびに、新聞は大声で非難すべきです。

今回の一部業務停止命令については、朝日と毎日も経済面で取り上げています。ともに、3段見出しをつけている点では読売よりもましだといえますが、どちらも不当行為の詳細や銀行側の反応については書いていません。個人的には、大いに不満です。

つい最近(3月30日)も、業法で禁じられている有価証券の売買をしたとして、さわかみ投信が一部業務停止命令を受けるという不祥事がありました。朝日はこれを、ベタ20行で報道(3月31日付朝刊)。その記事の下には、JPモルガン・アセット・マネジメントが、損失の付け替えなど業法に違反する行為をしていたとして業務改善命令を受けたという記事が出ていましたが、行間をつめたさらに目立たない扱いで済ましていました。

これらや今回の読売の記事を読んで感じるのは、新聞の大企業、有力企業に対する甘さです。はやり言葉を使えば、勝ち組への甘さとも言えます。加えて、経済事件に対する甘さというか、鈍さというのも感じます。物を盗んだとか人を刺したとかいった暴力的な違法行為に比べ、相手をだまして不当に金をもうけたといった頭脳的な違法行為は、犯罪としてレベルが高く、悪質度は低いといった、へんな認識があるようにさえ思えます。

世界的な金融大企業が、ずるいこと(少なくとも違法なこと)をやって金を稼いでいたというのは、さらりと流すようなことではないはずです。経済オンチですが、新聞も、ニュース判断のバランス感覚を失っているように思います。
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by tmreij | 2006-04-06 23:38 | 本紙


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