永田議員の「病院避難」は、いいの?

民主党の永田寿康衆院議員が、「送金メール」問題で会見を開き、弁明しました。きょう(2006年3月1日)の全国紙朝刊は、メールはニセモノだという党としての判断や、前原代表ら党幹部たちの反応も含め、1面や社会面、総合面、社説などで、この話題を大きく展開しています。

記事をみていくと、永田氏が裏付けなしにメールを本物だと思い込んだことや、そのメールをもとに国会で断定的な発言を繰り出したことについて、経緯や原因、責任を追及する内容が目立ちます。

それはそれで大事ですから、結構だと思います。ただ、ほかにも大切な点があるように思うのですが、それについては、各紙そろって気にしていないのが気になります。(「『格差』直結は強引では & 永田議員にダメ出しを」とややダブリ感がありますが、ご容赦を)

今回の騒ぎで、永田氏(および民主党)によって国民が被った最大の不利益といえば、他の重要なことがらがかすんでしまったことでしょう。耐震データ偽造問題や官製談合事件などの「4点セット」や、沖縄返還をめぐる密約問題、経済格差対策など、問題は山積しているのに、国会のエネルギーが注がれるべきところに注がれず、あさっての方向に行ってしまっています。

そうした大枠はちょっと置いておいて、メール騒動の範囲内で考えてみると、どういう不利益があるでしょうか。永田氏がたいした証拠もなしに、自民党の武部幹事長に「金で魂を売っている」と言ったり、次男を名指しして犯罪者のように呼んだりしたことは、当人たちにはお気の毒ではありますが、国民に不利益が生じたというほどのことではないでしょう。永田氏がいい加減な質問をし、国会の威厳や品格をおとしめたことは国民にとっての損害だ、と考えることもできるとは思います。でもそれは、永田氏に限らずいろんな議員が、もっと前からじゃんじゃんやっているような気がします。

今回の騒ぎで国民が被った大きな不利益は、永田氏によってナメられ、当然提供されるべき説明や情報をすみやかに得られなかった、ということではないでしょうか。

先月16日に国民をぎょっとさせるような国会質問をした永田氏は、武部幹事長に不正があったのは間違いないと言い張りながら、形成が悪いとみると、23日に突如入院。きのう28日に会見するまで、丸4日以上、国民に対してひと言の説明もせずに、病院(のおそらく広い個室)で「自己回復」に努めていたのです。国民の関心を集めるだけ集めておきながら、思うようにいかないと突然姿をくらますなんて無責任なことを、ぬけぬけとやったわけです。

それなのに、きょうの各紙に、この点を厳しく追及する記事がまったくないのは、なんとも不思議です。

卒倒するなど、永田氏の具合が本当に悪く、国民への説明よりも入院が優先されるべき事態であったのなら、まだ同情の余地はあります。しかし、きのうの会見で永田氏は、〈私の身心の疲労、混乱が極限に達しているという判断、指摘もあり、私自身もそのように感じていたことから、入院させていただくこととなりました〉(毎日)と説明。急を要する入院というよりは、自愛に満ちた入院だったことがうかがえます。

そもそも、自分で仰天質問をしておきながら、〈混乱が極限に達している〉は通用しないと思います。トンボを捕まえようと指をグルグル回していたら、自分の目が回ってしまった、と言っているようなものです。小泉首相が〈「あれくらいのストレスで入院しちゃうなら、おれなんか毎日入院しないといけない」〉(東京、2月28日付朝刊)と言ったというのも、もっともだと思います。

永田氏について、読売は〈調査能力も、質問の最低限の礼節やテクニックも身につけていなかった〉(総合面)と評し、毎日は〈事態の深刻さを考えるといさぎよく自ら議員辞職する選択もあったのではないか〉(社説)と迫っています。これらも、もっともだと思います。

ただ、永田氏が議員にふさわしくないのは、調査能力や礼節やテクニックの欠如ばかりではなく、国民にちゃんと向き合うという意識の乏しさも、大きな理由の一つだと思います。新聞には、この点についても、永田氏を厳しく点検してほしいと思います。

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2月28日付東京新聞朝刊は、〈永田氏にみる政治家の「入院」事情〉〈不祥事の避難所〉〈永田町のお家芸〉という見出しの記事を、特報面に掲載しています。〈「病院はメディアの取材などを避けるシェルター」〉という政治評論家のコメントや、〈「こんなところにいないで、早く出るべきところに出て正々堂々と釈明してほしい」〉という病院近くの主婦の声を交えながら、おもしろい記事に仕立てていると思います。
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by tmreij | 2006-03-01 22:12 | 本紙


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