わいろ実行部隊の責任は?

大阪府の元教育監(教育長に次ぐナンバー2)が、在任中にわいろを受け取った疑いで逮捕されました。きょう(2006年2月12日)の京都新聞は、社会面でこのことを大きく伝えています。

大阪の事件なのに、大阪に本社を置く全国紙よりも、京都新聞のほうが詳しく書いています。そのことはとてもよいと思うのですが、内容が詳しいだけに読者が感じる疑問点については、ちょっと鈍感なような気がします。

全国紙の報道によると、元教育監は在任中だった2年前、知人(大阪市内の学校法人の前理事長)の親族の女性を府立高校の非常勤講師に採用するよう学校側にプッシュ。知人から、お礼として高給スーツの仕立券付き生地(35万円相当)を受け取った疑いがかけられています。

朝日も毎日も読売も、上記のように人間関係をぼやかして書いているなか、京都新聞は、〈(知人から)教員志望の孫娘(24)を講師に採用するよう頼まれ、大学の後輩だった府立高校長(58)に「採用してやってほしい」と依頼〉と記述。「親族」は知人の孫娘であり、校長は教育監と特別な関係があることを明らかにしています。

さらに、〈(知人は学校法人名義の)カードで仕立券などを購入し、妻と娘に(教育監の)自宅まで届けさせていた〉という、全国紙にはない情報を盛り込んでいます。つまり、親子3人でわいろ工作をしていたと報じているわけです。(孫娘は結局、非常勤講師として採用されたようです)

今回の事件においては、いずれも大事な情報だと思いますし、あえて伏せるようなことでもないように思います。

ただ、これらのことを知れば読者は当然、「わいろ作戦の実行部隊だった妻や娘の責任は問われないの?」と思うでしょう。作戦を描いたのは前理事長だったのかもしれませんが、だれかが実際に金品を渡して初めて犯罪が成立するのですから、役どころとしては実行部隊だって重要です。前理事長の妻や娘(講師として採用された孫娘にとっては祖母と母)が、訳もわからずにスーツの仕立券を元教育監に届けたなどということはないはずです。

それなのに紙面では、実行部隊の責任についてはまったく言及されていません。これでは読者は、消化不良を起こします。また、前理事長の孫娘の採用は結局、元教育監の働きかけが効いたからなのかどうかも、今回の記事からはわかりません(この点は全国紙も同じ)。これだって、読者としては気になるところです。

読者に疑問をもたせたまま終わるのは、記事としてよくないと思います。疑問に思うようなことはないかと常に意識して、取材・執筆をしてほしいと思います。

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今回の記事は、京都新聞のオリジナルではなく、共同や時事などの通信社が配信した記事なのかもしれません。地方紙などは、通信社の記事でも「共同」「時事」といったクレジットなしで掲載することが多いようです。

内容に対する責任の所在をはっきりする意味でも、クレジットは入れるべきだと思います。これについては、またいつか改めて書きたいと思います。
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by tmreij | 2006-02-13 00:33 | 津々浦々


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