感度のよさを感じる、ワンクリック裁判記事

きょう(2006年1月31日)の朝日新聞朝刊の第2社会面には、〈ワンクリック詐欺〉〈弁護士反撃 賠償ゲット〉というおもしろい記事が出ています。

それによると、ワンクリック詐欺のサイトにアクセスした弁護士が、〈「威圧的な請求で精神的な苦痛を受けた」〉と主張し、サイトの運営者に400万円の損害賠償を求め提訴。東京地裁は、運営者に30万円の支払いを命じる判決を言い渡したということです。

弁護士は〈「泣き寝入りする被害者が多い中、不正な請求に応じる必要がないばかりか、賠償も勝ち取れることを示した意義は大きい」〉と話しているようですが、まったくそのとおりだと思います。

東京地裁ともなれば、1日に数多くの判決が言い渡されます。そのなかから、今回のようにきらりと光る判決を見つけ、記事にした朝日のセンスは高く評価できると思います。毎日と読売にはこの訴訟についての記事を見かけませんから、地味ではあるものの、朝日のクリーンヒットだといえるでしょう。

ただ、あー、これを書いてほしいのにー、と思うことが2つあります。

ひとつは、サイト運営者の名前です。記事は、弁護士名は書いていますが、ワンクリック詐欺をした側については〈サイト運営者〉〈サイト側〉という言葉を使い、会社名(または個人名)および住所を明らかにしていません。しかし、ここは遠慮せずに出すべきところだと思います。

記事によると、〈「田舎から夢見て上京したトマト娘たち」〉というメールが届き、クリックしていくと〈「入会登録が完了したので3日以内に39000円支払え」〉とのメッセージが表示されたと、判決で事実認定されています。これはもう、トマト娘ってどんな娘だ、なんてことを気にするまでもなく、明らかにワンクリック詐欺でしょう。控訴されて判決がひっくり返ることが予想されない限り、同業者らへの強い警告の意味も込めて、会社名や個人名をばっちり出すべきケースだったと思います。

民間人対民間人の民事裁判で、そこまで書くのはいかがなものか、という見解もあると思います。しかし、サイト運営者名を明記することで、さらなる被害を防いだり、詐欺だということに気づかせる効果が生まれることも考えられます。ここは、運営者側が名誉棄損などで訴えてきたら受けて立つ覚悟で、新聞社が読者や社会一般の側に立つべきところだと思います。

書いてほしいもののもうひとつは、サイト運営者のコメントです。これについては、おそらく取材は困難でしょう。ただ、訴訟資料などから、運営者の連絡先はわかるはずなので、判決への反応をなんとか聞き出してほしいところです。「引っかかったふりして引っかけるなんて、詐欺だ!」なんてお茶目なコメントじゃなくてよいので、ひと言感想を聞きたく思います。
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by tmreij | 2006-01-31 23:44 | 本紙


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