新聞はホリエモンを持ち上げたか(1)

ホリエモンをめぐって、政治家と新聞が非難合戦を繰り広げています。きょう(2006年1月27日)の読売新聞は、社説〈メディア批判と「不明」は別の問題〉で、政治家たちからの攻撃に応えています。

この一件は、ライブドアの堀江貴文・前社長が昨年9月の衆院選に立候補したとき、武部幹事長や竹中経済財政相(当時)が応援演説に駆けつけるなどしたことに端を発しています。マスコミや野党は堀江前社長の逮捕後、「堀江容疑者をバックアップしていた」と自民党を批判。それに対し、党総裁でもある小泉首相らが「メディアだって持ち上げたじゃないか」と反論しているものです。

この日の読売を含め、新聞からは再反論が出てきています。ただ、その内容はというと、説得力はないし、読者の共感を得られるようなものでは到底ないように思います。

読売の社説には、次のような文章があります。

〈疑問なのは、首相が、衆院予算審議で「メディアが騒いで、(堀江容疑者を)時代の寵児のように扱った」と、メディアを批判したことだ。/確かに、「話題になりさえすればよい」という、テレビなど一部メディアに問題はあった。だが、それで首相の「不明」が帳消しになるわけではない〉

注目したいのは、〈テレビなど一部メディア〉という言葉です。読売は、自分のところを含め、新聞には問題はなかったとの認識なのです。

果たして、そうなのでしょうか。

ホリエモンをマスコミが取り上げるようになったのは、プロ野球近鉄の買収に名乗りを上げた04年夏ごろからでした。ただ、ホリエモンに関する報道ぶりについて、この時期の読売をチェックしても、バランスの取れた評価はできないように思います。というのも、読売の主筆でもある渡辺恒雄会長は、自らプロ野球1リーグ構想をぶち上げていて、その妨げになるようなことをするホリエモンを明らかによく思っていなかったからです。

フジテレビ買収騒動(05年2月〜)についても、マスコミは全般的に批判的でしたので、あまり分析に適当とは思えません。

そこで、昨年の衆院選のときの読売をみてみましょう(記事はすべて05年。肩書きは当時)。

8月20日付朝刊では、自民党が第4次公認候補を発表したというニュースを、1面で報じています。堀江社長は結局、公認されなかったのですが、武部幹事長と並んで立候補の会見をする堀江社長の写真を、目を引く位置に載せています。また、第1社会面でも、選挙区(広島6区)入りして人の渦に巻き込まれた堀江社長の写真を大きく掲載。〈異端児に”戦線恐々”〉という派手な見出しをつけた記事は、〈今回はどんな旋風を巻き起こすのか〉〈若い男性から「日本を変えてくれ」と声をかけられると、「頑張ります」と答えた〉と、期待感を込めているとも読み取れるような仕立て方になっています。

翌8月21日付朝刊2面の〈衆院選ドキュメント〉では、記事中に竹中経済財政相や菅直人・民主党前代表ら7人の政治家(うち1人は匿名)が登場するというのに、写真は〈報道陣に囲まれながらだるまを購入する堀江氏〉のものだけが使われています。

8月23日付朝刊政治面の1コマまんがでは、首から下はドラえもんの堀江社長が、対立候補の亀井静香氏と相撲を取っている(その相撲は「とんとん相撲」で、小泉首相が相撲盤を叩いている)絵を載せています。同第2社会面には、〈「勝ち組」も、ベテランの大物も らしくない どぶ板の戦い〉という見出しで、広島6区の堀江社長ら3人の写真を並べてそれぞれの選挙活動を報告する大型記事を掲載。〈(堀江社長は)22日には、地元名物の尾道ラーメンを食べに出かけ、客の求めに応じて一緒に写真に写ったり、握手を交わしたりした〉という、ワイドショーの新聞版みたいな描写も出てきます。

8月25日付夕刊の第1社会面トップでは、堀社長と亀井氏の大きな顔写真を並べ、投票用紙に「しずかちゃん」と書かれても亀井氏の得票になるが、「ドラえもん」と書いてあっても堀江社長への1票にはならないことを(わざわざ)報告。公示日の8月30日付夕刊社会面は、全国に300ある選挙区から7つをピックアップし、そのひとつとして堀江社長の広島6区も取り上げ、〈「若さとパワーで、改革を遅らせる古い政治家ととことん戦う」〉という堀江社長の第一声を紹介しています。

〈注目選挙区 最後の訴え〉という見出しをつけた9月11日付朝刊第1社会面の記事でも、注目の4選挙区のうちの1つとしてトップで広島6区を取り上げ、堀江社長が〈真っ赤なシャツを着用〉し、大仁田厚・参院議員と竹中大臣から応援演説を受けたことを報告。投票日翌日の9月12日付朝刊第1社会面では、〈ホリエモン及ばず 「次も出る」〉という4段見出しを掲げ、〈落選が決まり顔をゆがめる堀江さん〉という写真をつけた記事が、〈(堀江社長は)亀井さんとテレビ番組を通じて、互角の論戦を演じていただけに、表情には悔しさがありあり。「また選挙になったら僕は出ます。この6区に戻ってきたい」とリベンジを誓った〉と、堀江社長に対する評価もまじえて伝えています。

このように、読売新聞は、並々ならぬ注意をホリエモンに注ぎ、紙面でも特別扱いを続けてきました。

(つづく。この稿、2回に分けます)
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by tmreij | 2006-01-28 21:29 | 本紙


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