きょう(2006年1月25日)の朝日新聞朝刊の第2社会面には、〈日掛け金融、条件厳しく〉〈最高裁判断 悪質高利排除に道〉という記事が出ています。
お隣の第1社会面では、ライブドア関連の記事がカラー写真やチャートつきで掲載されています。大きさや派手さでは2つは比べ物になりませんが、根っこのところでは共通点があるように思います。新聞には、日掛け金融もライブドアと同じぐらい重要視することを望みます。
記事によると、「日掛け金融」は、主に小規模業者に金を貸し、年率54.75%というべらぼうな金利を取っています。ただ、だれでもこんな商売をできるわけではなく、返済期間を100日以上にすることや、返済期間の半分以上は自ら集金に出向くことなどが、出資法で義務づけられています。そうした条件を満たし、かつ、貸借のときに書類で明示することが、日掛け金融を営む条件となっています。
今回、最高裁は、「ダイヤモンドリース」(福岡県久留米市)という業者がイベント会社と設計会社に金を貸したことについて、書類があいまいで、日掛け金融の条件を満たしていないと判断。契約を有効としてきた一、二審の判決を破棄し、福岡高裁に審理をやり直すよう命じました。
超高利に苦しんだであろう2社にとっては、救われる思いでしょう。高裁差し戻しですから、「利息を払い過ぎている」といった自らの主張が完全に認められたわけではありませんが、最高裁が審理をやり直せと言ったのは、自分たちに有利は判決に向けての大きな前進だといえるでしょう。
気になるのは、一審、二審ではこの契約が有効とされてきたという点です。きょうの記事を読む限り、この貸金業者は出資法に明白に違反していたと思えます。しかし、法の番人である裁判官たちが、あからさまな違反を見逃してきたはずはありません。考えられるのは、書類は見ようによっては条件を満たしている(つまり合法)ともとれるものだったということでしょう。
記事ではまた、〈100日に満たない段階で新たな貸付契約を結ぶ「借り換え」を繰り返している点も問題だとした〉という最高裁の認定も紹介されています。これも、一読して不法行為があったのではないかと思えてきます。しかし、契約は有効という判決が出続けてきたということは、これについても地裁、高裁は、合法と認めてきたということです。
裁判について述べるのは、この文章の趣旨ではありません。言いたいのは、新聞は、こうしたグレー(合法と違法の境界を行っている)ともいえる業種や業者に対し、弱者(少なくとも経済弱者)を守るという立場から、厳しい批判を展開すべきだということです。
お隣のライブドア事件では、法の網の目をかいくぐって(一部ではおそらく法を犯して)金もうけに走ったホリエモンらの姿勢に対し、新聞は強い非難を浴びせかけています。利益を上げるためなら脱法行為だって認められるんだという考え方に、大きなバツをつけています。
そうしたライブドアの商法と、今回のダイヤモンドリースの稼ぎ方は、根本で共通しているように思います。「キワドイことをやってこそ、もうけは大きい」という発想を、どちらももっているように感じます。となれば、新聞はやはり、ダイヤモンドリースについても実態を探り、その結果によってはバツをつけるべきではないでしょうか。
キワドイことをやっていても、誰にも迷惑をかけないのであれば、まだ社会に認められるかもしれません。しかし、ライブドアについては、実態にあわない高値で株券をつかんだ人たちが、大泣きをしています。こういう人たちはまだ、投資する金があるだけまだましです。ダイヤモンドリースをめぐっては、金が無くて借金をした会社が、ばか高い利息に苦しみ借金を重ねるという、借金地獄のスパイラルにはまっているのです。
叩きやすいホリエモンたちを叩くのも結構ですが、利益至上主義を地で行く企業は他にもたくさんあります。そういう業界・業者にも、同様に厳しく当たってほしいと思います。そうした業者の影には、大泣きではすまないほど苦しんでいる人たちがたくさんいるのですから。