イラクにいる自衛隊がさっぱり見えない

自衛隊のイラク派遣期間を1年間延長することが決まりました。きょう(2005年12月9日)の全国紙朝刊は、1面と総合面、社会面などで、このニュースを大きく伝えています。

イラク派遣をめぐっては、朝日が〈派遣に反対した私たちの基本的な立場は変わらない〉(社説)と訴え、読売は〈幅広い視野からみて、派遣は正しい判断だったと思う〉(解説面)と書くなど、新聞によって評価は大きく違っています。

一方で、共通点もあります。どの新聞にも、現場からの報告がない点です。

自衛隊がどんな状況に置かれ、何をし、何ができず、地元住民らからはどのように評価されているのか。そういった点が見えてこないため、今回の派遣延長の決定をどう考えてよいのか、よくわからない読者が多いのではないでしょうか。

唯一、毎日が国際面で、〈市民の評価二分 サマワ 復興遅れに不満も〉という見出しを掲げ、サマワの市民3人の声を伝えています。ただこれも、カイロにいる記者が電話で取材したもので、記者の五感で現地の空気を伝えたものとはいえません。

朝日と読売は、イラク派遣から戻った自衛隊員に現地の様子などを語らせています。しかし、客観的な現地報告とは、やはり違います。

政府が重要な決定をしたのに、チェック機関である新聞各社が、さっぱりチェックすることができていないのです。新聞がこうなのですから、読者はますます、派遣延長を批判的にみることができず、政府発表をだまって受け止めるような事態になってしまっているように思います。

危険だからというのが、各社が現地に記者を送り込まない理由でしょう。しかし、きょうの東京新聞がイラク北部で取材するジャーナリストの話を掲載していることからもわかるように、イラクで取材をしている人はいます。たとえサマワに入れないとしても、カイロやアンマンから記事を発信するよりは、イラク国内で取材した方がより臨場感のある記事になるはずです。ずっと駐在するのは難しくても、タイミングを見計らって短期取材をするという方法もあるでしょう。

いまのままでは、新聞が自衛隊派遣を検証する役割を果たしているとはいえません。読者としては、的確な情報を得られず、いわば「暗闇」にいるようなものです。自衛隊のことに限らず、よく言えば大胆、悪く言えば乱暴な政策というのは、こういう状態のときにダダダと推し進められてしまうものかも、と感じています。
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by tmreij | 2005-12-09 19:17 | 本紙


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