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「大連立」の誘いについて、ちゃんと説明させよ

小泉首相が、民主党の前原誠司代表に、連立政権を組もうと呼びかけていたようです。きょう(2005年12月8日)の毎日新聞夕刊は、〈「民主に大連立打診」報道 前原氏「関知していない」〉という見出しで、次のように伝えています(19行しかないので全文を引用します)。

〈訪米中の民主党の前原誠司代表は7日午前(日本時間8日未明)、「小泉純一郎首相が9月下旬、側近を通じて前原氏に自民、民主両党の『大連立』を打診し、前原氏が断った」という共同通信の報道について「それについては関知していない。連立の可能性は99.99%ない。我々は選挙によって政権交代を実現したいという考えにまったく変わりはない」と語った。ワシントン市内で記者団の質問に答えた。前原氏が明確に否定しなかったことに関心が集まっている〉

これを読んでわからないのは、結局、小泉氏から前原氏に誘いはあったのか、それともなかったのか、という点です。

自民党と民主党の「大連立」なんて、びっくりたまげるような話です。そんな話を、首相が持ち出していたのかどうかという事実関係は、読者としては大いに気になるところです。

〈前原氏が明確に否定しなかった〉なんてまわりくどい表現はありますが、こんな言い方などせず、打診について「認めた」または「否定した」とすっきり書くべきです。

そう書いていないのは、事実関係についてしっかりと質問していないからかもしれません。もしそうであれば、記者の怠慢もいいところです。〈ワシントン市内で記者団の質問に答えた〉と書いていますから、前原氏に直接説明を求める機会はあったはずです。それなのに、〈明確に否定しなかった〉といった程度の報告しかできないなんて、記者としての仕事をしていないと言っているようなものです。

おそらく、前原氏にとっては触れたくない話題であり、それゆえに言葉を濁していることが推測できます。しかし、そうした話題だからこそ、きちんと語らせるのが記者の仕事のはずです。だいたい、前原氏は最大野党の党首なんですから、説明責任は大きいはずです。新聞は断固として、明確な答えを求めるべきなのです。

当事者の一方に直接質問する機会がありながら、打診の有無さえ確認しない(できない)なんて、新聞は何をやっているんだという批判を浴びても仕方ないと思います。

 ———

読売の夕刊は、関係者の話をもとに、打診はあったと断定。〈小泉首相が先の衆院選直後の9月下旬、民主党の前原代表に対し、連立政権構想を打診していたことが8日、明らかになった〉と報じています。

ただ、前原氏の反応については、〈記者団に対し、「自民党との連立の可能性は99.99%ないし、選挙によって政権交代を実現したいという考えに全く変わりはない」と述べた〉と書くだけ。毎日と同じく、打診の有無について、前原氏の口からは語らせていません。

一方、小泉氏側の反応がどこにも載っていないのも気になります。これについても、新聞は怠慢だとのそしりは避けられないと思います。
by tmreij | 2005-12-08 23:59 | 本紙


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